「ギブアンドテイクが人間関係、社会の基本」――そう教えられてきたのに、トラブル続出!?
労働、商品、情報――ビジネスシーンでの「上手くいかない人」には、ある共通点が!?
ギブアンドテイクが成り立たない!?
人、社会は助け合いによって成り立っています。
「与えたものが返ってくる」のは人間関係の基本です。
労働と報酬、販売と購入、施しとお礼――社会もそう成り立っています。
ところが、ビジネスシーンではしばしばそれが成り立たないことがあります。
「同僚の仕事を何時間もかけて手伝ってあげたのに、その見返りがない」
「新規開拓先の担当者にあれだけ恩を売ったのに、結局取引してくれなかった」
「ギブアンドテイクじゃなかったのか!?」
「納得いかないぞ!!」
こうして同僚に壁を作ってしまう人もいます。
しかしこれでは職場生活が成り立ちません。
一体どうすればよいのでしょうか!?
ギブアンドテイクの新しい3つの捉え方
ギブアンドテイクという言葉の考えてみるとき、私たちは「与えること」よりも「ちゃんと返してくれよ」という気持ちを強く込めるものです。
「当然返してもらう」という気持ちがあるからこそ、返ってこなかったときの落胆、怒りが生じるのでしょう。
こういう問題をかかえている方は、「ギブアンドギブ(Give & Give)の精神」で他者と付き合いをすることを提案します。
「与えるだけだなんて、とんでもない!」という返事が返ってきそうですね。
日本でもヒットした組織心理学者アダム・グラント氏の「GIVE & TAKE 『与える人』こそ成功する時代」という書籍もありますが、実際に実行することはなかなか難しいものです。
損得勘定でものを考え、損することはしたくない――これが人の嘘偽りない感情でしょう。
聖人君子のような境地に達することはできません。
ただ、これには引っ掛けがあります。
「ギブアンドギブ」ではなく、「ギブアンドギブの精神」です。
捉え方を変えるだけで、「ギブアンドギブの精神」で「ギブアンドテイク」を成立させることができるのです。
[1] 無償で提供できるものを考えてみる
[自分にとって価値がなく、相手にとって価値があるもの]
「見返りがない」と不満を持つのは、自分にとって価値のあるもの提供した場合です。
相手が喜んでくれるだろう、という自分の気持ちに応えてくれなかった裏切りにも似た感情すら生じます。
なので、
・自分が無償で相手に提供できるもの
・手を煩わさなくてもできること
・自分のフトコロが痛まないもの
――をあらかじめ考えて準備しておくといいでしょう。
また、
・自分にとって価値がなく、相手にとって価値があるもの
――というのも有効です。
たとえば自分にとってはもう用なしになってしまった資料も、相手にとっては今一番欲しい情報かもしれません。
[2] 超長期スパンで捉える
他者への施しはすぐに返してもらわないと気になるものです。
「さっき仕事を手伝ってやったから、夕食はおごってもらわないと。」
でも、それは性急すぎます。
他者への施しは、ずっと後になって思いがけない形で戻ってくることも多いのです。
葬儀屋事業「株式会社ティア」を起業から一部上場まで驚異的な速さで果たした冨安徳久さんは取引先の新規開拓について――
最初はどこも相手にしてくれなかったが、死者を弔うつもりで霊安室を掃除してまわったのが縁で、何年も経ってから取引を申し込んでくることがあったことを述べています。
そのときは気の利いたお返しを受けなくても、意外と相手はあなたの恩を覚えているものです。
そして忘れた頃に「あのとき世話になったから」と、思いがけない形で戻ってくることもあるため、そう急がずに気を長く持つことも必要です。
[3] 相手に入れ込みすぎない
「新規開拓先の担当者にあれだけ恩を売ったのに、結局取引してくれなかった」
これは営業マンの悩みのタネですね。
惜しいところまでいって、あれもこれも情報提供した後に突然の契約破棄にあった日にはもう飲まずにはいられません。
相手に感情移入をしすぎると、落胆、不満も激しいものとなります。
ですが、取引相手とは対等ではありません。
立場も違います。
施しが返ってくる保証が何もないときは、感情をおさえて、あくまでビジネスとして応対することも、ときには必要です。
以上、ギブアンドテイクの新しい捉え方を述べました。
ギブアンドテイクはビジネスシーンのみならず、あらゆる人間関係の基本です。
もし人間関係のギブアンドテイクで悩まれるところがあれば、ぜひ参考にしてください。
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